116A12

急激な血圧上昇を認める患者で、高血圧緊急症の病態として考えにくいのはどれか。

a 急性大動脈解離
b 褐色細胞腫クリーゼ
c 乳頭浮腫を伴う脳浮腫
d 肺水腫を生じた急性心不全
e 肺動脈性肺高血圧症を伴う呼吸不全

 

高血圧緊急症

血圧の上昇によって脳、心臓、腎臓、大動脈などに急性の障害が起こること

 

つまり血圧が元の病態をさらに悪化させること、と読み替えれば・・・

・大動脈解離がさらに進展する

・脳浮腫がさらに悪化する

・高血圧による後負荷の上昇でさらに心不全が悪化する

ということは考えられそう

 

肺性心は、右心肥大にはなるが、左心には関係がない

よって高血圧でも悪化するわけではない

 

標的臓器障害には,高血圧性脳症, 妊娠高血圧腎症および子癇,肺水腫を伴う 急性左室不全, 心筋虚血, 急性大動脈解離, 腎不全などがある。

高血圧性脳症では,脳血流量の自己調節機構の破綻が関与すると考えられる。

正常では,血圧が上昇すると,脳灌流量を一定に保つために脳血管が収縮する

しかし平均動脈圧が約160mmHgを超えると,脳血管が収縮から拡張に転じる

その結果,著しい血圧上昇が毛細血管床に直接波及するとともに,脳内に血漿が漏出および滲出し,乳頭浮腫を含めた脳浮腫が生じる。

 

そうなると、やっぱり褐色細胞腫クリーゼだけおかしい

クリーゼ=高血圧緊急症なので、これだけが引き起こした結果でなく、そのものが選択肢に上がっている

 

病態という日本語があいまいなのです

 

高血圧緊急症=褐色細胞腫クリーゼ

⇒急性大動脈解離・乳頭浮腫を伴う脳浮腫・肺水腫を生じた急性心不全

という関係なのです

 

病態と言われると、どのような状態か?ともとれるし、どのような進展を見せるか?ともとれる

 

なので答えは確かにEなんですけど・・・

 

はっきりいってよくない問題だと思いました

 

正答率はDが多いので、おそらく

「病態?褐色細胞腫が含まれているし、それって高血圧になった原因ってこと?うーん。心不全で高血圧になるかなあ?」と考えたのでしょう

高血圧が心不全を引き起こすことはありますね

心不全が高血圧を引き起こすことはないですが。。

 

ALSについて

筋萎縮性側索硬化症 amyotrophic lateral sclerosis

 

まず側索とは、錐体路の通り道のこと。

まぎらわしいものに側角というものがある。

これは灰白質の自律神経が通る部分であり、全く関係ない。

101A44で出題されているくらい、医学生はよく間違っている。

101A44

65歳の男性。

筋力低下を主訴に来院。

1年前から上肢の筋がやせて筋力が低下してきた。

5か月前から歩行に際して疲労が目立つようになり、階段を上るのが困難となった。

2か月前から言語が不明瞭になった。

意識は清明。身長170cm、体重53kg。呼吸数26/分、整。

舌の萎縮を認める。

四肢に筋萎縮と中等度の筋力低下とを認める。

上下肢ともに深部腱反射は亢進し、Babinski徴候は両側で陽性

感覚は正常。排尿障害はない。

上位運動ニューロン障害下位運動ニューロン障害が混在している。

この点は面白い。

側索は錐体路であるから、ここの障害であれば上位運動ニューロン障害にしかならないはずだ。

実際にはネーミングに反して、前角も障害されている。

つまり、筋萎縮性とは、前角の障害であるということだ。

いうなれば、前角側索硬化症とでもいうべき病態だ。

 

下位運動ニューロン障害は上肢により強く起きているが、これは特徴である。

上位運動ニューロン障害は下肢に起きることが多い。

 

舌萎縮はどう説明できるのか?

9,10,12脳神経の下位運動ニューロン障害を球麻痺という。

脳の皮質から出た神経線維は、延髄の神経核で乗り換えて下位運動ニューロンとなる。

ALSではこの神経核がやられているというわけ。

 

しかしALSの運動ニューロン障害は下位だけではなかったように、ここでも上位が障害されうる。

9,10,12脳神経の上位運動ニューロン障害を偽性球麻痺という。

偽性球麻痺では攣縮により強制泣き笑いになるというのがALSの教科書的な説明だが、顔面の運動は7脳神経の顔面神経支配であるから、9,10,12は全く関係ないはずだ。顔面神経核は橋のレベルにある。延髄どころでは収まらずさらに上に行くのか。

ここらへんは正直ツッコんではいけない領域に入っているかな?

 

 

110I3
筋萎縮性側索硬化症患者で第6頸髄の頸椎症性脊髄症を合併するとき、筋萎縮性側索硬化症の病態によるのはどれか。

上腕二頭筋萎縮
腕橈骨筋筋力低下
大腿四頭筋反射亢進
下腿三頭筋線維束性収縮
Babinski徴候陽性

頸椎症性脊髄症と頸椎症性神経根症の引っ掛けから始まる。

頸椎症性脊髄症は上位の障害ゆえ、赤字は頸椎症性脊髄症が原因といえる。

加えて、C6レベルでは前根もやられるため、下位運動ニューロン障害も起きる。

C5支配が三頭筋。

上腕二頭筋はC5/6支配。

上腕三頭筋はC6/C7支配。

腕橈骨筋もC6支配。

なので

上腕二頭筋萎縮
腕橈骨筋筋力低下

も、頸椎症性脊髄症が原因と言える。

ちょっと、難易度高すぎかな。。

 

 

113A47
64歳の男性。ろれつの回りにくさと体重減少を主訴に来院した。半年前から話しにくさを自覚しており、同僚からも声が小さくて聞き取りにくいと指摘されるようになった。2か月前から食事に時間がかかるようになり、2か月間で体重が5kg減少している。1か月前からは両手指の脱力で箸が使いづらく、階段昇降も困難になってきたため受診した。意識は清明。眼球運動に制限はなく顔面の感覚には異常を認めないが、咬筋および口輪筋の筋力低下を認め、舌に萎縮と線維束性収縮を認める。四肢は遠位部優位に軽度の筋萎縮および中等度の筋力低下を認め、前胸部、左上腕および両側大腿部に線維束性収縮を認める。腱反射は全般に亢進しており、偽性の足間代を両側性に認めるBabinski徴候は両側陽性。四肢および体幹には感覚障害を認めない。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン3.5g/dL、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、血糖85mg/dL、HbA1c 4.5%(基準4.6~6.2)、CK 182U/L(基準30~140)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.38、PaCO2 45Torr、PaO2 78Torr、HCO3- 23mEq/L。呼吸機能検査:%VC 62%。末梢神経伝導検査に異常を認めない。針筋電図では僧帽筋、第1背側骨間筋および大腿四頭筋安静時での線維自発電位と陽性鋭波、筋収縮時には高振幅電位を認める。頸椎エックス線写真および頭部単純MRIに異常を認めない。嚥下造影検査で造影剤の梨状窩への貯留と軽度の気道内流入とを認める。

この時点でまず検討すべきなのはどれか。

a 胃瘻造設
b 気管切開
モルヒネ内服
d エダラボン静注
e リルゾール内服

d エダラボン静注 e リルゾール内服・・・は賢い奴ほど引っかかる選択。

殆ど効かないので国試で注目するような内容ではない。

クローヌス(英:clonus)とは筋肉や腱を不意に伸張したときに生じる規則的かつ律動的に筋収縮を反復する運動、間代(かんたい)と訳す。中枢神経性障害においてしばしば併発する。クローヌスが見られる場合は、上位運動ニューロン障害(錐体路障害)があるとされる。

安静時での線維自発電位は線維束性収縮を反映したものだが、これを撮るのは難しいこともあって、エコーで確認したほうがイイらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱性けいれんについて

国試で頻出であり聞かれる知識も極めて細かい

一度きっちりと読み込んでおくべきだろう

 

熱性けいれんは発症率は3.4~9.3%とも言われ、よくある疾患である

定義は「6か月~60か月までの乳幼児に起きるもの」である

遺伝性疾患でもある

 

まず基本は「単純型熱性けいれん」で、

①15分以下

②24時間以内の再発がない

③全身強直間代発作

と定義される

8割ほどは単純型で、特別な治療は必要でなく、これは怖くない

国試の過去問から引用するならば

・知能への影響がみられない

・脳波検査は要らない

てんかんへ移行する可能性は無い

わけである

 

以上に当てはまらない痙攣が2割あり複雑型とする

これは怖いことが多い、つまり・・・

・知能への影響がみられる=知的障害になり得る

・脳波検査が要る=発作時に検査したい

てんかんへ移行する=10~20%

 

 

108I54

9か月の乳児。発熱を主訴に母親に連れられて来院した。生来健康で今回初めての発熱である。診察を待っているときに全身性左右対称強直性間代性けいれんを認めた。3分後にけいれんは消失し意識も回復した。血液所見に異常は認めなかった。

→単純型

 

113D1

・単純型熱性けいれんは両側性

・1~3歳に多い
→108I54で左右対称とちゃんと書いてある・・・

 

96H4

新生児けいれんの原因にならないのはどれか.

A:発熱

という問題

 

著作権がアレですが、、某QBの解説によれば

「熱性けいれんは,一般に6ヵ月~6歳の乳幼児に生じる。新生児では起こらない。」とのこと

というか定義が、6か月から、なんですけどね・・・(>_<)

(新生児とは1か月まで)

 

102H37

10か月の乳児。けいれんを起こしたため搬入された。
現病歴:2日前の朝から38.5℃の発熱と喘鳴とがあり、抗菌薬と鎮咳去痰薬の投与を受けた。今朝から機嫌が悪く、昼過ぎから全身性強直間代性けいれんを起こした。来院時けいれんは停止していたが、けいれんの持続時間は40分間であった。
既往歴:特記すべきことはない。
発達歴:特記すべきことはない。
家族歴:母親が子供のころにけいれんを起こしたことがある
現 症:呼びかけても開瞼しない。身長73cm、体重9.2kg。体温38.8℃。呼吸数36/分。心拍数120/分、整。皮膚に発疹を認めない。眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭に発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm触知する。四肢の腱反射は軽度亢進している。

→複雑型

 

なお単純型で1歳未満はまれだが矛盾するほどでもない

108I54でもそうだったが「1~3歳に多い」と出題したことがあるならそう出題してほしいところだ・・・

 

 

プロラクチンとエストロゲンの奇妙な関係

・卵巣のE2→PRL↑→乳汁↑(ピルの薬剤性高PRL血症はこちら)
胎盤のE3→乳汁↓(妊娠時)

 

E:エストロゲン

PRL:プロラクチン

 

一見矛盾しますが、重要です。エストロゲンの種類によって効果が違います。

妊娠時は乳腺の発達がEによりなされますが、乳汁の産生は為されません。

111回国試では雑な出題が・・・・

111B37 | medu4でゼロから丁寧に医学を学ぶ

エストロゲン、だけではどっちともいえず、答えはありませんね。

 

このブログが詳しいです。

ameblo.jp

 

PRFprolactin‐releasing factorは山ほど種類があります。

TRH、E、セロトニン、VIP、オキシトシンオピオイドなどだそうで。

 

 

 

アルコール代謝と脂肪肝

アルコールは酸化されてアセチルCOAとなるが、これは遊離脂肪酸をβ酸化する経路と拮抗する。そのため中性脂肪の合成が増え、脂肪肝になる。

 

アルコール性ではAST優位になる。(Sake的な)

非アルコール性ではALT優位。

 

エコーで腎臓と肝臓は同じくらい。肝腎コントラストの差を見ると分かりやすい。

 

アルコール、肥満、糖尿病は最も多い原因である。

インスリン抵抗性は、やはり代謝の方向を中性脂肪へと向ける。

一方で脂肪肝も糖尿病の原因である。

甲状腺機能亢進症はコレステロールが低下する。その結果、VLDLが減少し、肝臓から中性脂肪を輸送することが出来なくなる=脂肪肝

MLF+片麻痺の変な1例

脳出血

・頭蓋内圧亢進症状としての頭痛・嘔気嘔吐

・原因は高血圧に尽きる

=来院時の超高血圧。治療も降圧。

・血腫除去術は視床出血と脳幹出血には適応なし

視床は内包に隣接し、脳幹は・・・脳幹やろが!

 

切迫する脳ヘルニアが救急で見落とせない

・意識低下

・血腫側の瞳孔散大

対光反射消失

・cushing現象

とくに瞳孔散大と対光反射の消失は部位によらず手術適応外とする

 

 

☆脳幹出血:最も予後不良

・交代性片麻痺とMLF症候群を来した一例を経験した。

右の片麻痺とCTでの左脳幹部の出血像。

左のMLFが障害され、左眼の内転不可による右方視の複視かと思いきや・・・

患者が示したのは左方視の複視であった。

これいかに。

 

 

 

交感神経

交感神経

 

α1 血管収縮↑

α2 インスリン分泌↓

β1 心拍・心収縮力↑

β2 肝臓グリコーゲン分解

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/16/3/16_3_248/_pdf

 

・褐色細胞腫では、α1作用が主に高血圧に作用する。

・β2による代謝亢進で高血糖ややせを来す。

  +α2のインスリン分泌低下も高血糖に関与している。

 

問題は高血圧のほうで、緊急度が高い。従って必ずαからブロックすること。

βブロッカーを先行するのは禁忌である。

 

またバセドウetcを疑った場合、確かに甲状腺ホルモンはアドレナリン的な存在ではあるが、

バセドウでは下痢・褐色細胞腫では便秘」

が決定的に違う点に注意。