116B47
褐色細胞腫クリーゼに対する治療
αの次にβというのは常識。今回指摘する難点はそこではない。
経静脈的降圧薬で降圧がみられたのち、最初に投与すべき経口降圧薬はどれか。
経静脈的降圧薬とは??という部分である
そんなもの疑問に思わないでいいのが必修だが・・・・禁忌のdも間違いではないと思うので擁護することにした
所詮は非専門の戯言なので軽くどうぞ
(出題委員様は専門家でありますので、深いお考えがあられると思います)
以下知識として・・・
・基本的に手術
・術前に十分な降圧
・カルシウム拮抗薬はα1だけでは降圧不十分or冠攣縮性狭心症の場合は使用可能
・βは必要ないが、αでは防げない頻脈や不整脈の治療には有効
・βを投与するにしてもαの数日後
・術前にαを1~2週間投与(私が見た限り帰宅する患者もいたが大丈夫なのかな)
・輸液も大事(血管が締まっているので広げると一気に血管内脱水になる)
で、経静脈的降圧薬という言葉ではグーグルでヒット0件
おそらく日本語して使われてはいない
116B43の必修では感覚脱失を知覚脱出と出題し不適切問題となった
116A73では多核球との出題もあるが、正しくは多形核球である
(単核球は正しいが、核が沢山ある細胞などない。形がいびつなだけ。)
この問題は正答率は2割であった
以上のように、えてしてこういう日本語がおかしい問題は正答率が非常に低く、質が悪い
ナントカは細部に宿るということか(笑)
論文に造語を書く人は居ないのに国試は許されるんですね
経静脈的降圧薬はおそらくニカルジピンを指している
・必要以上の急速で過剰な降圧は,臓器灌流圧の低下により虚血性障害を引き起こす
可能性が高いので,降圧の程度や速度が予測でき,かつ即時に調整が可能な注射薬を用いる.・点滴の降圧薬にはニカルジピンなどがあり・・・
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/2/104_268/_pdf
との記載もあるように、高血圧緊急症(=クリーゼ)全般の対応として間違いではないように思う
だが、褐色細胞腫クリーゼではα1の静脈投与がより良い
ガイドラインでも
・急性期はα1(レギチーン)の静脈投与が第一選択。即効性はあるが持続時間が短いので静脈投与で持続投与とする。α2も阻害するため、カテコラミンが増え、むしろ不整脈が引き起こされやすくなる。そのため急性期を脱すれば経口のα1とする。
との記載がある
経静脈的降圧薬がレギチーンであり、そのうえで経口に切り替えるというのがこの問題の実際であろうか?・・・であれば難易度が高い
そんなもの医学生に必要ではないと思う
褐色細胞腫クリーゼと絞り切れずに降圧の治療に入るのであればニカルジピンということもあるだろう
実臨床ではありそうなことだ
その場合、褐色細胞腫クリーゼに対してニカルジピンでは不十分なはずであり、その治療では急性期を脱していない(脱せない)はずであるから経口投与でいいのか?という疑問は残る
無理筋に擁護するのであれば、本症例は
「アドレナリン120pg/mL(基準100以下)、ノルアドレナリン1,200pg/mL(基準100〜450)。尿中VMA 18mg/日(基準1.3〜5.1)」
であり、血中カテコールアミン3分画〔A:アドレナリン NA:ノルアドレナリン DA:ドーパミン〕が正常上限の3倍以上という部分から診断基準を満たしていない
であれば、「褐色細胞腫クリーゼの基準満たしておらず、再検査して満たしてたとしても所詮は境界域であり、ニカルジピン程度でもクリーゼを脱した(降圧がみられた)ので次に投与するα1は経口でいいじゃん!」
ということになるか
「降圧がみられた」という言葉が重い
以上まとめると
・経静脈的降圧薬はニカルジピンであろう(本来の1st選択ではない)
・「降圧がみられた」から経口α1でよい
・降圧が認められない場合は静脈投与α1
だが、そのように難解に空気を読むならば、「降圧が出来て1週間たったのでβ入れとくか!」という発想も過ちではないかもしれないのであり、これが禁忌として認定されているのは疑問に感じざるを得ない。
ちなみに高血圧に対し、基本的にα1は使わない
α1遮断薬は、ALLHAT試験で利尿薬群に比し心不全発症が約 2 倍に増えたことから早期中止となり、その後はほとんどの高血圧治療ガイドラインの第 1 選択から外されました
116A-1では
睡眠時無呼吸症候群による高血圧について、正しくないのはどれか。
a 夜間高血圧となることが多い。
b 肥満患者では減量を推奨する。
c α遮断薬が第一選択薬である。
d 家庭血圧では早朝に高血圧となることが多い。
e 持続的気道陽圧法〈CPAP〉で降圧が期待される。
との出題もある
肥満やメタボリックシンドロームは高インスリン血症や高レプチン血症、交感神経緊張と関係する病態とされていますが、α1遮断薬はインスリン感受性を改善し脂質代謝を改善します。
家庭血圧測定や24時間血圧測定により診断される早朝高血圧は心血管疾患リスクになりますが、α1遮断薬の眠前投与がこれに有効であるとされています。しかし、肥満やメタボリックシンドローム、早朝高血圧に関して、α1遮断薬投与がリスクを低下するかどうかについては、残念ながらはっきりとしたエビデンスはありません。
なので、有効ではあるが、少なくともα1は第一ではない。
α1遮断薬を使用する疾患は二次性高血圧の代表的疾患である褐色細胞腫です。
褐色細胞腫クリーゼには非選択的α遮断薬フェントラミンの静注と選択的α1遮断薬ドキサゾシンの内服を使用します。
褐色細胞腫のガイドライン参照